古式生活 江戸時代 食事

夫婦箸、夫婦茶碗

 夫婦箸や夫婦茶碗というものがある。  「夫婦(めおと)」とつくモノだ。他には思いつかない。  他には「夫婦善哉」ぐらいだろうか。  この二つ、箸にしても湯飲み茶碗や飯茶碗にしても夫の方が大きく妻の方は小さい。箸は短い。  柄が揃えてあっても、どちらかが小さいので夫婦茶碗の揃いだ...

古式生活 所作 食事

欧米のスープの飲み方から所作の決まりごとを考える

   シチューを馳走になった。洋風の汁、スープ。  具の多いホワイトクリームシチューだ。  マッシュルーム、豚肉、海老、人参、ジャガイモ、インゲン、そしてキャベツ。  市販のクリームシチューのルーをベースに生クリームを追加して作ったもの。  炒めたタマネギとマッシュルーム、そこに...

古式生活 食事 武士道

祝い箸というものを考える

  正月、新年明けましておめでとうございます。  新しいコロナとともにある時代。ないものねだりをしない。  それがくじけないコツだと思います。  しっかりと生きてゆきたいものです。 本年もよろしくお願いいたします。  さて、日本の正月の習慣には「祝い箸」というものが...

古式生活 所作 食事

向付けはオカズか

 オカズという言い方がある。  現代的な言い方で、向付けということになる。  ご飯、主菜、副菜、汁。  これが和食の基本だからオカズというのは主菜ということになる。  そうするとよく言われることが「ご飯に合うオカズ」という言い方になるが、実はこれはあまり正しいとは言えない。  ご...

玄関から庭へ 古式生活 食事 茶室でのこと

饗応と庭

 古来から日本人は、人を「食事にどうぞ」と、自宅に呼んだ。  食事に呼ぶことは人との交流の方法としては確実やり方だ。  そして手料理をふるまう。  家へ招き入れ、心づくしのものを食べてもらう。  こちらも一緒に食べながらお互いを知ろうとする。  作った同じ物を食べるという場、饗応...

古式生活 江戸時代 食事 武士道

一汁一菜の本来とは

 武士、すなわち男子たるものは「一汁一菜」を信条とすべきである。  それはあくまで「信条」であるから、理想でもあり、目標でもある。  日々の食事で実践しているかと言えばそこまでのものでもない。  「一汁一菜」とはご飯に野菜、そして汁だ。  ではその中味は何か。  例えば、タクアン...

古式生活 江戸時代 食事

馳走

 「ご馳走」などと云う。  あることのために「走り回ること」の意味であり、転じて客に供応をして料理をふるまうことを言った。  料理をふるまうために走り回ったからである。  「馳走する」とは、食事を中心とした「もてなし」をする意味である。  「料理をふるまうために台所を走り回った」...

食事 武士道

一汁一菜

武士は質素倹約に努めるべし、そう言われた。  だがそれが一汁一菜についてのことだったかは分からない。  商人らが華美な文化を作ってゆく太平の世の中で、質素倹約とは奢侈に溺れない堕落を戒めたものだったが、食事についてはたいてい一汁一切を旨としていた。 米を食い、味噌汁とオカズ(魚)...

食事

蕎麦せいろ、敷きす

 「せいろ」と言うと、蒸し器のせいろを思い浮かべるだろうが、蕎麦も昔は蒸していたと言われている。  「蕎麦がき」みたいなものは今でもある。  だから、茹で上がった蕎麦が小型のせいろに盛られるようになったのもその名残りとも言える。  この蕎麦せいろには簾(す...

食事

箸と箸置き

 箸置きの歴史はそれほど古くはない。  昔は膳に椀、皿、そして箸が手前にそのまま置いた。  今、テーブルで食べることがほとんどだから、そのテーブルにわざわざ盆は置かない。  そうするとテーブルクロスなんかをひいたりする。  そこに箸を直接置くというのはは...

食事

蓋もの、とは

料理人の世界では、「蓋もの」という言い方がされることがある。 「煮物」に始まって「焼物」という言い方がある。「揚げ物」というものさえ近代ではある。 「煮物」、「焼物」、「揚げ物」は調理の方法を指している。  然、「蒸し物」というものもある。 これに対し、ま...

食事

飯櫃を使う

米を土鍋や鉄鍋で炊いている。 炊飯器というものは使ってはいない。  そうして米を炊いていると、見えてくるものがある。そんな気がしてならないからだ。  米をありがたくいただく。  その心だ。 おコゲというものに悩んでいたのは、まだずっと若い頃だった。 ...

食事

フォークとナイフ

 フォークとナイフ。  ナイフは舐めてはダメと言われる。  箸で言えば「ねぶり箸」に近いニュアンスと日本人には理解されているだろう。  我々日本人の感覚としては、マナーやエチケットに近いもの。  テーブルマナーとしては基本的なことだが、しかし実際にはマナーと...

食事

箸と武士道

 箸というものは刀と同じようなものだ。  だからその作法には煩く注意が向けられる。  刀の鞘には小刀がついていて、鞘に差し込まれているものがある。  小刀は小太刀ではない。  小刀はナイフのようにして楊枝を削ったり、柿を剥いたり、食事に使った。  刀と食...

食事

迷い箸

 みなでつついても、鍋を清潔に食べるようにする。  だから「ねぶり箸」、箸を舐めまわすようなことはしてはいけない。  では迷い箸はどうか。  「どれにしようか」と、食卓や膳の上を箸をさまよわせる。  これがいけないとされる。  食事をするのにモノを掴む...

食事

箸使い

 箸使いは日本人特有のものがある。  同じアジアで箸を使う国はあっても、日本人の箸に対する考え方には緊張したものがある。  ただの食事をするための道具ではない。  禁じられた動き、禁忌事項さえ考えられている。  迷い箸、ねぶり箸、それぞれ特有の名前がある。 ...

食事

湯斗について

湯斗というものがある。 懐石料理で釜を洗うための湯を出してくれるもの。 木製で漆塗り、片手持ちの大きめの急須のようなものだ。 白湯を入れておき、箸洗いついでにこびりついた器をその白湯で洗いながら飲む。 食った後も器を汚さないようにして仕舞う。 そこに質素...