箸置きの歴史はそれほど古くはない。
昔は膳に椀、皿、そして箸が手前にそのまま置いた。
今、テーブルで食べることがほとんどだから、そのテーブルにわざわざ盆は置かない。
そうするとテーブルクロスなんかをひいたりする。
そこに箸を直接置くというのははばかられる。
それで箸置きを使う。
かわいらしい趣味は江戸の頃からのもの。
意外とこの箸置きは高いものだ。
言ってみればフィギュアみたいなものだから、細かくよく作っていあるものは高い。
骨董屋なんかでもあまりみかけることはないから、死蔵されたり大事にされているのだ。
箸を箸置きから取る時、片手、指を使って回してはいけないと言われる。
右手で先が左を向いている箸を取ると、ついそうしてしまう。
手の平の中で片手で箸を回してしまう。
それはあまりよろしくない。
ではどうするか。
右手で箸を取ったら、一度左手に持ち替え、そして右手に通常の箸を持つ方向に持たせる。
書くと複雑のようだが、要は手でグルグルと箸を回さないということだ。
面倒だと思わないこと。
それが正しい所作であり、箸の扱いだと思えばできる。
持ち手をグジグジといじくり回さない。
何でも同じだ。
しかし、箸置きがなかったらどうかを考えてみればよい。
膳や盆にそのまま箸が置いてあったら。
箸置きがないので箸は膳や盆に置いてある。
箸は浮いてない。だから取りにくい。
これを取るには右の指先でつまむことになる。
つまんだ箸を深く持ち替えるには左手を添える。
つまんだ箸をいつもやっているようにグルグル回すのはなかなかできない。
もしやるとしたら箸を手の中でジャンプさせることになってしまう。
まるで片手が使えない者のようになってしまうだろう。
だから、箸を左手を添えて、きちんとした姿勢に持ち替えるというのはごく自然な所作なのだ。
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