箸使い

2020年2月3日月曜日

食事

 箸使いは日本人特有のものがある。

 同じアジアで箸を使う国はあっても、日本人の箸に対する考え方には緊張したものがある。


 ただの食事をするための道具ではない。

 禁じられた動き、禁忌事項さえ考えられている。


 迷い箸、ねぶり箸、それぞれ特有の名前がある。

 拝むように持つ箸、つまむのではなく箸で刺す。

 箸で器を引き寄せる。

 器に渡しかけて中座する。

 箸を持ちながら大鉢を持ち上げる。ながら箸。

 箸を指揮棒のように動かして議論したり。



 考えてみればどれも合理的な理由があり、汚く食事をしないようさせること、器や料理を落としたりするリスクを減らすことにつながっている。



 真剣に食事をすることが求められている。

 そうなれば簡素素朴を求められた茶杓とは違い、豪華に漆塗りや金箔、象嵌や貝殻を貼り付けて飾りつけするなど、箸に華美さを求めるのは間違っていない。

 
 奢侈どころか、箸の扱いさえ注意しなくてはいけなくなる。


 そういう綺麗な箸を使っていれば箸を痛めないようにすることも必要になる。

 器をガリガリと箸でこすったりしては箸が痛んでしまう。

 


 和食を供にすると、箸使いひとつで相手の育ちも精神もとたんに見えてしまう。



 常に我々は試される文化の中にいる。