フォークとナイフ

2020年2月13日木曜日

食事

 フォークとナイフ。

 ナイフは舐めてはダメと言われる。

 箸で言えば「ねぶり箸」に近いニュアンスと日本人には理解されているだろう。

 我々日本人の感覚としては、マナーやエチケットに近いもの。



 テーブルマナーとしては基本的なことだが、しかし実際にはマナーというよりもごく当然の成り行き、「必然」だったりする。
 マナーや常識というのは必然的にそうなる理屈がある。


 今の時代は、そういう「必然」が妙に捻じ曲げられている。
 基本というものを考えたいもの。



 欧州でいい店に行くと、よい味とよい食器にありつける。そして清潔なテーブルクロス。

 一方で店員の態度に関しては期待できない。

 日本の「おもてなし」などはないし、心などこもりようがない。
 バックヤードで痰を吐き、客の値踏みをしているなんてごく普通のこと。


 どんなに高級な客でもそれをやられるから、客は客でそういう店員を無視する。

 ちょっと前、スティングか誰か往年のロックスターが店員への暴行で逮捕された。

 サービスをしてやっている、なんていう態度の店員は日本の目線で見てしまえば噴飯モノだ。



 しかし出される食器、カトラリーはよいものが出される。
 日本はどんなに高級店でもそれほどのものは使われない。


 西洋ではナイフもものすごく切れる切れ味のよいものが出される。

 肉料理など注文しようものなら普通のハンティングナイフのような切れ味のナイフが出る。


 いくら肉のグレービーが美味しくてジュースがもったいないからと、ナイフを舐めてしまったりすれば、、、。

 大変なことになる。



 魚料理はもう少し丸く、あまり刃がついていないナイフが出されるが、それだってやはり舐めれば危ない。


 フォークは軽く刺せば手に用意に突き刺さる。

 だから舌にも突き刺さる恐れがある。


 「ねぶる」ということはフォークにしても当然あり得ない。

 狩猟民族と農耕民族のライフスタイルの違いを感じないわけにはゆかない。


 こういうことを体で覚えるには、やはり自分でちゃんとしたナイフとフォークを買って使うことしかない。
 やってみるのと聞くのとでは大違い。



 今の日本なら「危ない」なんてすぐに希薄化させてしまうだろうが、危険が取り巻く世界に我々は生きている。

 真剣に食事を摂り、真面目に美味しいものを味わう。


 そしてあまり温かいとは言えない他人が取り巻いて見つめる中で、余裕を持って食事を味わうその緊張。


 緩くしてしまうとどうしてもその心を忘れがちだ。

 快適を追求すればその真意さえボケてしまう。




 高級料亭に来たはずが、子供が店内を走り回っているなど、日本はどこかおかしなことになっていやしないか。