米を土鍋や鉄鍋で炊いている。
炊飯器というものは使ってはいない。
そうして米を炊いていると、見えてくるものがある。そんな気がしてならないからだ。
米をありがたくいただく。
その心だ。
おコゲというものに悩んでいたのは、まだずっと若い頃だった。
その頃はひとつクチのコンロのアパートで米をつましく鍋で炊いていた。
まだ一人用の炊飯器などはなかった時代だったから、さいわいにも鍋で米を炊くということが自然に出来た。
要はキャンプの飯盒(はんごう)の要領でもある。
別にどうということはなかった。
ただ、悩ましいのは、その米が炊き上がっておコゲが鍋にこびりつくことだった。
それでずうっと、それが米を鍋で炊くことの困難だと思い込んでいた。
歳を取って、それはまるで見当違いだということに気付く。
炊飯は蒸らしが大事なのだ。
炊き上がってからよく蒸らせば、おコゲなどキレイに鍋から剥がれ、コビリつかずに取れてしまうのだ。
おコゲがするっと鍋から取れてしまう。
そして次に、炊飯には「追い蒸らし」が必要になることを知る。
炊き上げて鍋の中で蒸らしてそっくりおコゲがめくれるようになったとしても、改めて米を天地返しする作業が必要になるということ。
それは蒸気を飛ばし、米のブツブツした食感を柔らかく丸める作業だ。
そのためのうってつけのモノに、「飯櫃(はんびつ)」というものが古来からある。
飯櫃というのはは木をそっくりそのままくり貫いたもので、そこに漆などが塗られてご飯がネバネバとつかないよう加工がされているものだ。
炊き上げた鍋から、ご飯を飯櫃に移し、そしてそこでご飯をひっくり返し、よく混ぜ合わせ蒸らす。
おコゲなどはそこでバラシて、柔らかくして、混ぜてしまう。
それが飯櫃の使い方だ。
こういう二段階の蒸らしがあることで、米はずっとおいしくなる。
あわてないことが肝心だ。
ちなみに、酢飯を作る場合は蒸らした後の米の蒸気を飛ばしたい。
ましてや酢が加えられてべとべとしてしまう。
そこで出てくるのが「飯台(はんだい)」というもの。
見てくれは洗濯のタライのようなものだ。
ここで米をひっくり返し、天地返しをし、酢を加えて蒸気を飛ばす。
やはり飯台を使って酢飯を作るのと、そうではないのとは味がまるで違う。
料理というのものは「仕上げ」までが大事だ。
それは男が常に肝に銘じている「ケジメ」ということに通じる。
炊飯でさえ、我々にそれを教えてくれる。
炊飯器というものは使ってはいない。
そうして米を炊いていると、見えてくるものがある。そんな気がしてならないからだ。
米をありがたくいただく。
その心だ。
おコゲというものに悩んでいたのは、まだずっと若い頃だった。
その頃はひとつクチのコンロのアパートで米をつましく鍋で炊いていた。
まだ一人用の炊飯器などはなかった時代だったから、さいわいにも鍋で米を炊くということが自然に出来た。
要はキャンプの飯盒(はんごう)の要領でもある。
別にどうということはなかった。
ただ、悩ましいのは、その米が炊き上がっておコゲが鍋にこびりつくことだった。
それでずうっと、それが米を鍋で炊くことの困難だと思い込んでいた。
歳を取って、それはまるで見当違いだということに気付く。
炊飯は蒸らしが大事なのだ。
炊き上がってからよく蒸らせば、おコゲなどキレイに鍋から剥がれ、コビリつかずに取れてしまうのだ。
おコゲがするっと鍋から取れてしまう。
そして次に、炊飯には「追い蒸らし」が必要になることを知る。
炊き上げて鍋の中で蒸らしてそっくりおコゲがめくれるようになったとしても、改めて米を天地返しする作業が必要になるということ。
それは蒸気を飛ばし、米のブツブツした食感を柔らかく丸める作業だ。
そのためのうってつけのモノに、「飯櫃(はんびつ)」というものが古来からある。
飯櫃というのはは木をそっくりそのままくり貫いたもので、そこに漆などが塗られてご飯がネバネバとつかないよう加工がされているものだ。
炊き上げた鍋から、ご飯を飯櫃に移し、そしてそこでご飯をひっくり返し、よく混ぜ合わせ蒸らす。
おコゲなどはそこでバラシて、柔らかくして、混ぜてしまう。
それが飯櫃の使い方だ。
こういう二段階の蒸らしがあることで、米はずっとおいしくなる。
あわてないことが肝心だ。
ちなみに、酢飯を作る場合は蒸らした後の米の蒸気を飛ばしたい。
ましてや酢が加えられてべとべとしてしまう。
そこで出てくるのが「飯台(はんだい)」というもの。
見てくれは洗濯のタライのようなものだ。
ここで米をひっくり返し、天地返しをし、酢を加えて蒸気を飛ばす。
やはり飯台を使って酢飯を作るのと、そうではないのとは味がまるで違う。
料理というのものは「仕上げ」までが大事だ。
それは男が常に肝に銘じている「ケジメ」ということに通じる。
炊飯でさえ、我々にそれを教えてくれる。
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