玉砂利は踏んではいけない

2019年12月30日月曜日

玄関から庭へ

 先日、踏み石をゆっくりひとつずつ歩く、それが茶会へ臨もうとする客がリズムとペースをしつけられているのだ、ということを書いた。
 そして主人ならその茶室をよく理解して、茶会を仕立てなければならない、と。



 もちろん。だから、玉砂利は決して踏んではいけない。


 玉砂利を踏んで音を鳴らしてはいけない。

 あれは音がわざわざ立つようにしてあるのだ。

 子供のように見られてしまう。

 もうそうなると、茶会どころの話でもない。寺や格式のある屋敷、料亭、すべて注意が必要となる。




 踏み石から外れるような歩みで訪れるのは、勝手な人間ということになる。

 独りよがりで我侭、他人への歩み寄りができない人間。

 だから人から示されたリズムすら理解できない、踏み石の歩みに従わない。




 自分はそういう人間であると暴露してしまうのが、玉砂利を踏む音だ。

 それは恥ずかしいことだと知るべき。

 敬意を持たれた扱いをされたくば、自分もまた敬意を持って尊重すべし。




 現代、このことに目をつけた業者がちょっと前に面白い商品を売っていた。

 わざわざ音のする砂利なのだと、「防犯になる」とあちこちのホームセンターで宣伝していた。

 暫くそのプロモーションをあちこちでしていたから、なかなか売れたのだと思った。



 確かに同じこと。

 夜中に忍び寄るような泥棒のために玉砂利を敷き詰めておくのだ。
  
 それは不埒な者を聞き分ける。