「自律神経失調症」という病名が昭和の時代にやたらとハヤったことがある。
日常的な耳鳴りや、めまい、睡眠不足、イラつき、要するに体の調子が不安定になるということ。
ヘタをすれば医者は何かしらのクスリを処方すらしていた。
だから、いったいその自律神経の狂いはどんなものか医学的に確定的だったかというと、なんてことはない、極めて曖昧なもので、今はこういう病名が公然と言われることはない。
他に症状としては、汗をかくとか、味覚がわからなくなるとか、頭痛もそのひとつ。
しかし症状としてはあるのだから、要は体調のコントロールができていない、そういう感覚的なことを司る神経、その制御が狂っているということと考えてよい。
こういう症状というのは高度成長時代あたりからで、その前に畳みに落ち着いて座ったり、穏やかな時代にはそうはないものだった。
日本中が何かに追い立てられ、せわしなく落ち着きがなく、ストレスの波にされされた最初の流行だったのだと言える。
これは、今ではいわゆる更年期障害とか、産後やマタニティブルーなどで当てはめれば同じ症状ということができる。
欝にしてもそうだろう。
心の状態や精神の状態のバランスを失い、それが影響すると考えれば、まずその精神や感覚、心のバランスを取り戻すべきだということがわかる。
先日紹介したような、自律神経を鍛えるトレーニングはそのための簡単な訓練方法である。
特にダンベルを持ち上げるわけでもない。ただ眠る前に少しイメージをすればよい。
これと似たようなものに香道があると言える。微妙な違いを嗅ぎ分ける楽しみではあるが、やはり感覚を研ぎ澄ます。
それを言えば茶道も書道も、いくらでも似たような神経を正常で穏やかな状態にするための方法はある。
料理でその微妙な味わいを知るというのも有効だろう。
微妙なものを区別する。それはとても小さなものだから静かにこれに耳を傾けなければイケない。それが精神のバランスをしっかりしたものに保つ。
医学的には根拠が薄くなったとは言え、やはり神経や精神のバランスは大事である。
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