茶杓のこと

2020年2月1日土曜日

茶室でのこと

茶杓は抹茶をすくうスプーンのこと。

竹の今の茶匙の形状になったのは茶道の確立、利休の頃だという。

その頃は戦いの時代でもあった。


 薄茶や濃茶をすくうのに適量を考えると茶杓の形状がちょうどよい。

 緑茶の葉をすくう茶匙はどこか一定量ではないところがある。

 急須に客や人数分を考えて入れるから手元で量を調整する。

 複数回取るということもある。

 あまり思いきりのよいものにはならない。



 そこは薄茶は一杯を茶碗に落とすだけでいい。

 だから一度きり、すくって済ませることが出来る。

 拭き取るにしても、すっと伸びた茶杓は潔い。

 
合理的で無駄がない。

 無駄がなければ隙がない。




簡素な中に魂を込め、その場その場の真剣勝負という意味合いが込められているようだ。

 昔はこれを使い捨てにしていたという。


 なおさらその場の大事、そういう意味合いが込められたのだと思う。


 だから漆塗りや螺鈿、金蒔絵の手の込んだ装飾の茶杓はありそうでない。



 もしかすると、客に持たせるという習慣があったのかも知れない。


 客と主人の上下関係を作ったことも想像させる。



 使い捨てで、簡素。


 簡素なものは華美でもあるという逆説。


 今、我々が割り箸を使っている習慣は茶杓から来ていると思わずにはいられない。