橋のたもとにあるもの

2020年2月20日木曜日

古式生活

 古い時代、橋がかけられることは大きな事業だった。

 石橋だったり、木の橋だったり、人々は苦労して交通をつなげた。



 その橋は共同体と外界をつなぐ。



 だから橋をかけると同時に、そのたもとには稲荷を祀り、疫病が村に入り込まないように祈願した。

 今のようにワクチンや医療技術のなかった時代、疫病は死を意味した。

全国のあちこちにある古い橋のたもとにはたいてい稲荷や石仏がある。




 結界の中の村と外、そういう考え方は「けじめ」というところにつながる。

 内側の秩序と外のカオス。それを分ける境界ということでもある。



 「結界」という考え方は茶室にもあるし、蛇の目の傘もそのひとつだ。


 和傘を開いた内側に糸で蛇の文様を編んで結界になるようにした。

 だから和傘を「蛇の目」という。



 コロナ伝染病の騒ぎの中、現代はなかなか外と内の区別がつけられない。

 いつの時代でも「けじめ」がなければいけないのだ。