音を嫌う世界

2020年1月14日火曜日

茶室でのこと

 茶の世界は音にとても敏感だ。

 場を乱すことを嫌うところからきているのだろう。

 それは主人と客ということでもあるし、茶室と我々が作り出す空間ということでもある。



 玉砂利を鳴らさない。
 
 細かい所作にすら必ず音を意識する。

 衣擦れの音。

 湯を汲む音。
 
 茶をすする音。




 茶室は極めて注意深い世界だ。




 音は心を乱すことがある。

 それは不穏な空気であり、慮外者の乱入ということだ。

 サムライならばそのぐらいの警戒心は当然のこと。


 毎日が命を賭けて生きているのだ。



 そうして音を鎮め、心を鎮め、穏やかなところでそっと緊張の糸を張る。




 例えば、昔の時代劇などでは必ずといっていいぐらい斬り合いのシーンは強い風を吹かせていた。



 乱世。

 今もそうかも知れない。



 「常在戦場の心」 あり、ということ。