古式生活 江戸時代

鐘の音

  古来、ヨーロッパでは教会の鐘の音が届くところまでが領地であるとされた。  だから教会の設置には領主の許可が必要であり、時を知らせるだけではなかった。  集会、葬式、領主の視察など、各種の行事を伝えた。  すなわち西洋の鐘は、宗教という権威にありながら支配や統治というものから来...

古式生活 江戸時代 武士道

臭いで分かる

  男だ。  確かに男がいた。さっきまで。  男が、我々の家の玄関の前に暫く立っていた。  さっきまで。  外でタバコを吸おうと、玄関を出たらその臭いが分かった。  さっきまで、俺が中で茶を飲んだりしている時、その間中、そいつは玄関先で中をうかがいじっと外で立ってい...

古式生活 江戸時代 武士道

のぼり

 日本人は古来から「のぼり」が好きだ。  選挙で、商売で、広場で、公共のイベントの現場でその告知で、のぼりは現代でも日本のあらゆるところで活躍している。  日本を訪問した外国人はこの風景を見るとたいてい驚く。  その、領地を宣言しているようなまがまがしさに、日本人の内面の厳しいも...

古式生活 江戸時代 食事

馳走

 「ご馳走」などと云う。  あることのために「走り回ること」の意味であり、転じて客に供応をして料理をふるまうことを言った。  料理をふるまうために走り回ったからである。  「馳走する」とは、食事を中心とした「もてなし」をする意味である。  「料理をふるまうために台所を走り回った」...

古式生活 江戸時代 武士道

書の工夫

 「掛け軸の書」や「書額」というものがある。  書額はたいていは勢いや力強さが求められ、魂、意思などが伺えるものがよいとされる。  道場や広間に掲げられ、戒めや心得として人に訴えかける。  一方、掛け軸は主に茶室や床の間にかけられる。  眺めた時に穏やかさを与え、静けさを補助...

鮒釣り

 「釣りは鮒に始まって鮒に終わる」  古来からそのような言葉がある。  釣りと言うものの楽しみ、その心を教えた言葉だ。  余興や楽しみとしての「釣り」は獲物を捕らえることが目的ではない。  つい我々は勘違いをして獲物をどれだけ得られるかを楽しみとする...

古式生活 武士道

流れ、成り行き

 日本人は「流れのまま逆らわない」ということを重視したり、「自然の流れに従う」ということをよく考える。  「成り行き任せ」というと無責任という意味になってしまうが、大勢を見るというのは重要だ。  大将、その長でもそうしたことを考えたりもする。  大将や殿様を勤めるのでなく...

古式生活 江戸時代 武士道

盆栽 BONSAI

 海外からの訪問が多かったため、できるだけ翻訳しやすいように分かりやすく記述してみる。  「翻訳ボタン」を活用していただきたい。  今回は盆栽についての解説だ。  「盆栽」というのは、海外でもよく知られるものとなった。  「BONSAI」と、そのまま日本語の発...

古式生活

日本は火の国である

 日本人は古来から、火、炎というものが好きだ。  日本は火の国。火山国、地震国でもある。  疫病が流行ると護摩を焚いたりして邪気を追い払うということをした。  煙を焚いて邪気を払うというのが主にアジアの文化に見られるが、日本はむしろ炎というものの方が多いように思う。 ...

古式生活 江戸時代

結界

 かつては結界というものがあちこちに見られた。  神社の祭礼、儀式にあってはしめ縄が地域に張られ、その範囲が神によって守られている領域であることが示された。  それらは魔や鬼と我ら人間とを分け隔てする境界だった。  神社という聖なるものの縄張りを決め、そこを...