茶室でのこと 武士道

一期一会

分かりやすいのは茶室で言われることだ。  茶室での一服を「出逢い」と称し、これを一期一会などと言った。  巷ではこの言葉は、偶然の出逢いに感謝しろなどというニュアンスで言われるが、それは私は違うと思う。  いつなんどき、別れるかも知れない。  そういう覚悟についての言葉なのだと思...

食事 武士道

一汁一菜

武士は質素倹約に努めるべし、そう言われた。  だがそれが一汁一菜についてのことだったかは分からない。  商人らが華美な文化を作ってゆく太平の世の中で、質素倹約とは奢侈に溺れない堕落を戒めたものだったが、食事についてはたいてい一汁一切を旨としていた。 米を食い、味噌汁とオカズ(魚)...

武士道

一揆やパニック、侍はどうしたのか

 もちろん、斬った。切り捨てた。  パニックになったりして騒ぐだけの大衆はたちまち切り殺された。  武士と言う連中がいて、彼らは浪人となっても階級を捨てなければいとも簡単に斬り捨てることが出来た。  それは自警団ですらない。  法であり秩序であった。 ...

武士道

サムライというもの

 太平の世が続き、武士と言うものはすっかり軽んじられるようになったとよく言われる。  藩や殿様など、所属するところを失った武士が浪人となり、様々な職に流れていった話もおちぶれた武士の印象を強くさせる。  しかし、考えてみれば武士というのは官僚であり、政治家だった...

古式生活

書というもの

 床の間に掛け軸を飾る。  書を飾る。来客のために交換したりする。  それはいつも身が引き締まる思いだ。  その字は読みにくいが、たいていは決まりきった箴言だったりするから、意味は通る。  実は掛け軸の書はは交換するものだ。  時々別なものを...

古式生活

奢侈ということ

 江戸のその時代には飢饉などがあって、  格差というものが顕在化した。  だから奢侈禁止令と言うのが出たことがあると思う。 奢侈禁止令と言っても、結局、歌舞伎や芝居などは一時的には禁じられただけで、結局はやられ続けていた。  主に豊かな豪商の遊びや...

古式生活

波紋

 日本人は波を愛する民族である。  海に囲まれた民族であり、山がちな国には豊かな川がある。  その水の流れは波紋を描く。  青海波(せいがいは)というものが中国から入ってきて、日本人はそれも大いに気に入った。  刀を鍛えて自然に浮かび上がる波紋は芸術にま...

古式生活

外から持ち込まれるもの

 日本は昔から色々なものが外から持ち込まれた。  仏教にしてもそうだし、鉄や青銅器もそう。  都という都市の概念すら外から持ち込まれたものだ。  そして鉄砲伝来。  黒船。  疫病もまた同じようなものだ。  人類の歴史はウィルスとの共存の歴...

武士道

ケジメ、結界

 蕎麦をすすった汁が残ったら、それをまた鍋に戻して料理を作るということはしない。  だから蕎麦は音を立ててすすり、食べ残しは汚物として捨てる。  使い回しのようなことは独身時代の一人、子供の頃に戯れ事としてやったことはあるが、それだって自分だけのためでしかなかった。...

武士道

根付け、音付けというもの

 「根付け」とか、「音付け」という。  それは今で言えばキーホルダーとかストラップの類だ。  昔とて、モノを失くせば困った。  硯すら懐に入れて持ち歩いていた時代だ。  今とそうは変わりはない。  失くしてしまわないように工夫が生まれても不思議では...