古式生活

書というもの

 床の間に掛け軸を飾る。  書を飾る。来客のために交換したりする。  それはいつも身が引き締まる思いだ。  その字は読みにくいが、たいていは決まりきった箴言だったりするから、意味は通る。  実は掛け軸の書はは交換するものだ。  時々別なものを...

古式生活

奢侈ということ

 江戸のその時代には飢饉などがあって、  格差というものが顕在化した。  だから奢侈禁止令と言うのが出たことがあると思う。 奢侈禁止令と言っても、結局、歌舞伎や芝居などは一時的には禁じられただけで、結局はやられ続けていた。  主に豊かな豪商の遊びや...

古式生活

波紋

 日本人は波を愛する民族である。  海に囲まれた民族であり、山がちな国には豊かな川がある。  その水の流れは波紋を描く。  青海波(せいがいは)というものが中国から入ってきて、日本人はそれも大いに気に入った。  刀を鍛えて自然に浮かび上がる波紋は芸術にま...

古式生活

外から持ち込まれるもの

 日本は昔から色々なものが外から持ち込まれた。  仏教にしてもそうだし、鉄や青銅器もそう。  都という都市の概念すら外から持ち込まれたものだ。  そして鉄砲伝来。  黒船。  疫病もまた同じようなものだ。  人類の歴史はウィルスとの共存の歴...

武士道

ケジメ、結界

 蕎麦をすすった汁が残ったら、それをまた鍋に戻して料理を作るということはしない。  だから蕎麦は音を立ててすすり、食べ残しは汚物として捨てる。  使い回しのようなことは独身時代の一人、子供の頃に戯れ事としてやったことはあるが、それだって自分だけのためでしかなかった。...

武士道

根付け、音付けというもの

 「根付け」とか、「音付け」という。  それは今で言えばキーホルダーとかストラップの類だ。  昔とて、モノを失くせば困った。  硯すら懐に入れて持ち歩いていた時代だ。  今とそうは変わりはない。  失くしてしまわないように工夫が生まれても不思議では...

武士道

名札、表札

 古い人間ならいざしらず、名札みたいなものを嫌う人は今はあまりいないだろう。  首から入館証を下げさせるところは普通だし、そこには顔写真や名前が入っている。  それを得意げな顔でぶら下げたままにしているのがいるが、みっともなく感じてしまう。  ビルに入館するため...

食事

蕎麦せいろ、敷きす

 「せいろ」と言うと、蒸し器のせいろを思い浮かべるだろうが、蕎麦も昔は蒸していたと言われている。  「蕎麦がき」みたいなものは今でもある。  だから、茹で上がった蕎麦が小型のせいろに盛られるようになったのもその名残りとも言える。  この蕎麦せいろには簾(す...

食事

箸と箸置き

 箸置きの歴史はそれほど古くはない。  昔は膳に椀、皿、そして箸が手前にそのまま置いた。  今、テーブルで食べることがほとんどだから、そのテーブルにわざわざ盆は置かない。  そうするとテーブルクロスなんかをひいたりする。  そこに箸を直接置くというのはは...

武士道

包丁を研ぐ

 刀というのは必ず研ぎ師にやってもらうものだ。  だから昔も、包丁を研ぐということは武士たちは好んでした。  それは女性的な「台所」という話ようなではない。  「男子厨房に入り浸る」などと言われたのは昭和の話だ。  明治の頃、男子というものの自意識の発揚が氾...