茶室でのこと

人と鍋をつつく

日本人の鍋の食べ方は外国人に驚かれることのひとつだ。  自分用のもの、個別の鍋ではなく、大勢でひとつの鍋を突いて食べる。  パエリャ鍋があるが、あれは取り分ける前にまとめて調理したというだけ。  追加で食材を投入して食べてゆくというのはない。  これは日本...

食事

箸使い

 箸使いは日本人特有のものがある。  同じアジアで箸を使う国はあっても、日本人の箸に対する考え方には緊張したものがある。  ただの食事をするための道具ではない。  禁じられた動き、禁忌事項さえ考えられている。  迷い箸、ねぶり箸、それぞれ特有の名前がある。 ...

茶室でのこと

茶杓のこと

茶杓は抹茶をすくうスプーンのこと。 竹の今の茶匙の形状になったのは茶道の確立、利休の頃だという。 その頃は戦いの時代でもあった。  薄茶や濃茶をすくうのに適量を考えると茶杓の形状がちょうどよい。  緑茶の葉をすくう茶匙はどこか一定量ではないところがある。 ...

建水とは

建水と言ったら緑茶の方が身近かもしれない。 旅館に行くと、お茶が飲めるように茶櫃に一揃い入っている。  茶の入った茶筒、茶碗、茶卓、茶匙、そして建水。  建水とは、緑茶を入れてお代わりを貰うとき、前の茶殻を捨てるための容器のこと。  旅館ではここに茶殻を捨...

茶室でのこと

蓋置きの心

 釜の蓋を開けると湯気が水滴となって滴る。  こういうものはよしとしない。 茶室が湿っていてカビ臭く、畳がしなるようなところもあれば、常に乾いて乾燥し、キリッと引き締まった佇まいのところもある。  主人の心を映していると言われても仕方がない。 ポタ...

棗(なつめ)を使う

棗に濃茶を入れておく。 茶壷より棗が一般的だ。  これを流用して普通の緑茶の入れ物にする。    すぐに飲んでしまうので風味が落ちるほどではない。  たっぷり入れてなければすぐに使ってしまう。  適度に乾燥してくれるのでそれもちょうどよい。 ...

金継ぎをして器を使い続ける

焼物は使っていれば割れてしまうことはある。  よい器を使っていて割れてしまうのは困る。  バラバラ、粉々になってしまう場合もあるが、もし真っ二つとか綺麗に割れていたら金継ぎをしたらよい。  「金継ぎ」というのは陶器や焼物を修復する方法のこと。  漆を接着剤...

食事

湯斗について

湯斗というものがある。 懐石料理で釜を洗うための湯を出してくれるもの。 木製で漆塗り、片手持ちの大きめの急須のようなものだ。 白湯を入れておき、箸洗いついでにこびりついた器をその白湯で洗いながら飲む。 食った後も器を汚さないようにして仕舞う。 そこに質素...

茶室でのこと

膳というもの

 膳というものがある。  昔はテーブルやちゃぶ台ではなく、目の前に銘々の膳を置いてそこに飯碗、新香などで食事をした。  正座の和室の生活から洋風の生活になり、今はほとんどの人がテーブルで食事をしている。  正座して膳を前にして食事をすることはなくなった。  ...

茶室でのこと

音を嫌う世界

 茶の世界は音にとても敏感だ。  場を乱すことを嫌うところからきているのだろう。  それは主人と客ということでもあるし、茶室と我々が作り出す空間ということでもある。  玉砂利を鳴らさない。    細かい所作にすら必ず音を意識する。  ...