建水とは

建水と言ったら緑茶の方が身近かもしれない。 旅館に行くと、お茶が飲めるように茶櫃に一揃い入っている。  茶の入った茶筒、茶碗、茶卓、茶匙、そして建水。  建水とは、緑茶を入れてお代わりを貰うとき、前の茶殻を捨てるための容器のこと。  旅館ではここに茶殻を捨...

茶室でのこと

蓋置きの心

 釜の蓋を開けると湯気が水滴となって滴る。  こういうものはよしとしない。 茶室が湿っていてカビ臭く、畳がしなるようなところもあれば、常に乾いて乾燥し、キリッと引き締まった佇まいのところもある。  主人の心を映していると言われても仕方がない。 ポタ...

棗(なつめ)を使う

棗に濃茶を入れておく。 茶壷より棗が一般的だ。  これを流用して普通の緑茶の入れ物にする。    すぐに飲んでしまうので風味が落ちるほどではない。  たっぷり入れてなければすぐに使ってしまう。  適度に乾燥してくれるのでそれもちょうどよい。 ...

金継ぎをして器を使い続ける

焼物は使っていれば割れてしまうことはある。  よい器を使っていて割れてしまうのは困る。  バラバラ、粉々になってしまう場合もあるが、もし真っ二つとか綺麗に割れていたら金継ぎをしたらよい。  「金継ぎ」というのは陶器や焼物を修復する方法のこと。  漆を接着剤...

食事

湯斗について

湯斗というものがある。 懐石料理で釜を洗うための湯を出してくれるもの。 木製で漆塗り、片手持ちの大きめの急須のようなものだ。 白湯を入れておき、箸洗いついでにこびりついた器をその白湯で洗いながら飲む。 食った後も器を汚さないようにして仕舞う。 そこに質素...

茶室でのこと

膳というもの

 膳というものがある。  昔はテーブルやちゃぶ台ではなく、目の前に銘々の膳を置いてそこに飯碗、新香などで食事をした。  正座の和室の生活から洋風の生活になり、今はほとんどの人がテーブルで食事をしている。  正座して膳を前にして食事をすることはなくなった。  ...

茶室でのこと

音を嫌う世界

 茶の世界は音にとても敏感だ。  場を乱すことを嫌うところからきているのだろう。  それは主人と客ということでもあるし、茶室と我々が作り出す空間ということでもある。  玉砂利を鳴らさない。    細かい所作にすら必ず音を意識する。  ...

玄関から庭へ

振袖の長さ

 華やかな茶席があちこちで立っている新年。  まだ松の内だ。  俺にはあまり関係がない。  それこそ呼ばれるのも何かのご縁。 その付き合いをやめてしまったから。    そんな昔、着物で女性が正式にして、振袖なんかで集まったところに行った。  やはり正月...

茶室でのこと

湿気、湯気というもの

 釜から静かにかすかに湯気が上がっている。  その向こうで主人が所作をしている。  こちらはじっとしている。  湯気が冷たい茶室に静かに漂っている。  日本は多湿な気候だ。  それがあったからこそのこうした所作なのだと思う。  釜や風炉で湯を沸かし...

武士道

包丁を研ぐ

 新年、刀鍛冶たちが打ち初め式をする。  カタナを年の初めに最初に打ち、火花を散らすのだ。  新年にそういう儀式をするというは、話を聞くだけでも身が引き締まる思いがする。    自分ひとりでも同じことができる。  包丁を研いでやればいい。  目...