武士道

名札、表札

 古い人間ならいざしらず、名札みたいなものを嫌う人は今はあまりいないだろう。  首から入館証を下げさせるところは普通だし、そこには顔写真や名前が入っている。  それを得意げな顔でぶら下げたままにしているのがいるが、みっともなく感じてしまう。  ビルに入館するため...

食事

蕎麦せいろ、敷きす

 「せいろ」と言うと、蒸し器のせいろを思い浮かべるだろうが、蕎麦も昔は蒸していたと言われている。  「蕎麦がき」みたいなものは今でもある。  だから、茹で上がった蕎麦が小型のせいろに盛られるようになったのもその名残りとも言える。  この蕎麦せいろには簾(す...

食事

箸と箸置き

 箸置きの歴史はそれほど古くはない。  昔は膳に椀、皿、そして箸が手前にそのまま置いた。  今、テーブルで食べることがほとんどだから、そのテーブルにわざわざ盆は置かない。  そうするとテーブルクロスなんかをひいたりする。  そこに箸を直接置くというのはは...

武士道

包丁を研ぐ

 刀というのは必ず研ぎ師にやってもらうものだ。  だから昔も、包丁を研ぐということは武士たちは好んでした。  それは女性的な「台所」という話ようなではない。  「男子厨房に入り浸る」などと言われたのは昭和の話だ。  明治の頃、男子というものの自意識の発揚が氾...

道具を大事にせよ

 サムライにとって刀は道具だ。  人を殺すための道具。  料理人が包丁を、「魚を殺す武器」とは考えないように、サムライはその道具であっさりと人を斬る。殺す。  もし、その刀を「武器」などと考えていたサムライがいたら、戦国の世ではきっと長生きはできなかったに違い...

武士道

包丁というもの

 男が、包丁を扱えなくてどうする。  男が包丁を研げなくてどうする。そう思う。  武士は刀は研がなかった。  人を斬って、ダメにしてしまっても、必ずその研ぎは研ぎ師にまかせた。  それは悔しいが専門でなけばできない。  だからその反動というか...

古式生活

房というもの

房(ふさ)というものがある。  日本の文化には色んなところに房がある。  組み紐で編んだ紐を作り、その先をほぐして房にする。  帯締めでもあるし、相撲では天井からそれぞれ赤房、青房と下がっている。 この房というものにはどんな意味があるのか、あまり語られるこ...

武士道

不撓不屈ということ

 挫けない心。  初心を忘れず、常に前向きでいること。  それがサムライというものだ。  歯を見せるな。  人におもねるな。  おごるな。  困難が多くとも、どれだけ打ちのめされたとしても、正しいと信じる道をゆく。  信じることを成そうとする覚...

食事

蓋もの、とは

料理人の世界では、「蓋もの」という言い方がされることがある。 「煮物」に始まって「焼物」という言い方がある。「揚げ物」というものさえ近代ではある。 「煮物」、「焼物」、「揚げ物」は調理の方法を指している。  然、「蒸し物」というものもある。 これに対し、ま...

食事

飯櫃を使う

米を土鍋や鉄鍋で炊いている。 炊飯器というものは使ってはいない。  そうして米を炊いていると、見えてくるものがある。そんな気がしてならないからだ。  米をありがたくいただく。  その心だ。 おコゲというものに悩んでいたのは、まだずっと若い頃だった。 ...